今回は、自然エネルギーを活用して夏は涼しく、冬は暖かい住まいにするパッシブデザインの代表的な５つの手法についてご紹介します。この５つをバランスよく考えることで、快適な住まいが生まれます。

一つ目は、省エネに欠かせない「断熱と気密」です。入浴中の死亡事故は交通事故の死者数より多いというヒートショックは、今や重大な社会問題になっています。家全体で温度差を軽減することは健康リスクの軽減につながります。

二つ目めは、「日射遮蔽」です。日差しや熱の侵入を抑制し、室温の上昇を抑えることで冷房効果を高めることができます。

三つ目は、「自然風利用」です。卓越風向（その地域で最も吹きやすい風向き）を知ることは非常に大切です。これを上手に設計に取り込むことができれば、空気の流れをつくることができ、快適な環境が生まれます。

四つ目は、「昼光利用」です。自然光を適切に取り込むことも非常に大切な要素です。これを間違うと、昼間なのに暗い部屋、照明を付けないと過ごせない部屋ができ、それは思いのほかストレスです。

五つ目は、「日射熱利用暖房」です。熱を取り込むために、ただ窓を大きくすればいいわけではありません。夏とは逆に低い冬の太陽高度を把握し、適切な窓配置をすることが重要です。

高気密高断熱など住宅性能を高めることは大事ですが、性能にばかり気を取られていては快適な住まいはできません。今回ご紹介したパッシブデザインで自然エネルギーの特性を上手に取り入れることが大切です。そのためには、自然を理解することから始まります。